役行者を巡る【静岡】

役行者を巡る【静岡県】
Ⅰ 浜松市:➀四所神社、②馬背神社、
      ③洞水山宝珠院
Ⅱ 熱海市:➀熱海身代り不動尊、
      ②伊豆山神社、③役の小角社、
      ④走り湯神社、⑤走り湯温泉、
      ⑥澤田政廣記念美術館
Ⅲ 磐田市:➀金剛寺、②行者神社
Ⅳ 袋井市:篠ヶ谷山岩松寺
Ⅴ 賀茂郡:➀石廊崎駐車場、②石室神社、
      ③役行者の蓑掛岩
Ⅵ 写真一覧
 *富士山は【山梨県】を参照。
Ⅰ 浜松市
➀【四所神社】…静岡県浜松市北区滝沢町158-1。(2010/03)
 祭神は、上筒男命・中筒男命・底筒男命・荒魂皇大神。
 説明板によれば、由緒は以下の通り。
「創立は、天明元年(一七八一年)。明治六年村社に列格、幣帛供進社。『遠江国風土記伝』寛政元年(一七八九)に、曹洞宗龍洞院の末、大欤?(タイセチ)の神社転じて堂となるか、と記し滝沢の大日堂以前に延喜式内の大欤?(タイセチ)神社の所在を記している。拝殿は安楽寺大日堂の建物である。明治初年の神仏分離の際、本尊大日如来を林慶寺に移した。元旦祭には無形文化財に指定されたシシウチ神事、シイトウ祭りがある」。
 拝殿の左に、津島神社と若宮神社の祠があって、その後の岩の上に、役行者が祀られている。
 丸彫りの石像で、眼、口を閉じて瞑想しているようであり、額、頬にはシワがある。【写真1】
②【馬背神社】…静岡県浜松市天竜区佐久間町佐久間2700。(2010/03)
 宥泉寺の西側の細いコンクリート舗装の道をまっすぐ北に向かうと馬背神社がある。拝殿の右手に、熊野神社が祀られていて、右に熊野神社の銘が刻まれた石灯籠、左に丸彫りの役行者の石像が祀られている。
 宝珠院の役行者とは表情は異なるが、顔全体に深いシワが彫られている。右手に錫杖、左手に経巻を持つ倚像である。【写真2】
③【洞水山宝珠院】…静岡県浜松市天竜区横山町375。(2010/03)
 曹洞宗。本尊は十一面観世音菩薩。
 干水之観音といわれ、日照りに際して雨乞いを祈願する。
「養老元年(717)、法相宗・行基菩薩門下の一僧により開山草創されました。聖観世音菩薩を請し、村民の信仰を集めました。天長2年(西暦825年)、真言宗に改宗され、虚空蔵菩薩をご本尊に請されました。聖観世音菩薩は、本堂脇のお堂に安置されることとなりました。元禄2年(西暦1689年)、本寺可睡斎二十六世黙外門室大和尚を請して、中興開山され、曹洞宗に改宗。明治二十五年、火災にあうも、翌年再建し現在に至る」(ホームページ)。
 本堂左手の歴代住職の墓地の一段高いところに、役行者の丸彫りの石像が祀られている。
 馬背神社の役行者とは表情は異なるが、顔全体に深いシワが彫られている。右手に錫杖、左手に経巻を持つ倚像である。【写真3】
Ⅱ 熱海市
➀【熱海身代り不動尊】…静岡県熱海市伊豆山837。(2009/03)
 別格本山大明王院身代り不動尊熱海別院。真言宗醍醐派。
 本尊は不動明王と役行者。
 1月14日に「役の行者火祭」(ドンド焼き)が行われる。本尊の役行者は正月だけ一般公開されるとのことであった。
 お寺で頂いた「走湯泉」には次のように記されていた。
「無垢霊湯大悲心水沐浴罪滅六根清浄/当山の御本尊神変大菩薩(役行者)が、文武三年(六九九年)に大島より伊豆山の磯辺に渡り来て走湯の霊湯を発見し、湯問より尊像が浮び上がり、右の偈文を感得された」
②【伊豆山神社】…静岡県熱海市伊豆山708-1。(2009/03)
 関八州総鎮護・伊豆山神社。
 伊豆山神社の案内板の御由緒に次のように記されている。
「当社は古来伊豆大権現、走湯大権現、又は伊豆御宮、走湯山とも呼ばれていましたが、明治の神仏分離令により現在の社名に改称されました。/又、伊豆の地名の発祥地は当社であります。/社伝によると当社は最初、日金山(万葉集にいう伊豆の高嶺)に鎮まり、次いで本宮山に移り、さらに三遷して現在の地に御鎮座になりました。/(中略)/なお、当社は明治以前においては神仏習合が盛んに行われた社で、役小角をはじめ弘法大師、多くの山岳仏教徒や修験者が入峰して修行を積んだ霊場で、後白河法皇の御撰による梁塵秘抄に「四方の霊験所は、伊豆の走湯(伊豆山神社を指す)、信濃の戸隠、駿河の富士山、伯耆の大山」と著され、東国、東海における第一の霊場として聞こえていたことがしられます」
③【役の小角社】…静岡県熱海市伊豆山708-1。(2009/03)
 伊豆山神社・役の小角社。
 伊豆山神社の鳥居をくぐって、石段を上がると本殿までの中程のところの右手に、役の小角(神変大菩薩)を祭神とする末社・役の小角社(足立権現社・あしだてさん)の祠がある。
 等身大の役行者の丸彫りの木像が祀られている。右手に錫杖、左手に経巻を持った倚像である。
 関東大震災の後、神社の整備が行われる中、「足立権現社」に納めたものだという。すなわち「大正十二年九月一日大震災ニテ各社大破今年荒神社雷電社合祀シテ本社殿ヲ建ツ納ムル処ノ古木像ハ役ノ小角刻シテ伊豆山神社に奉納セシモノ也ト云爾/大正十四年二月十四日」【写真4】
④【走り湯神社】…静岡県熱海市伊豆山。
 「走湯温泉跡」の上にある神社。(2009/03)
⑤【伊豆山温泉・走り湯温泉】…静岡県熱海市伊豆山。(2009/03)
 四十二代文武天皇[御諱輕。]戊戌(*文武天皇二年・698)。役優婆塞。[大和國茅原人。]依違勅配流大嶋。行者嚮北顧。山頂常聳五綵之雲。[仙道之奇瑞歟。]兼識権現霊砌。四月上旬艤舶航來。着湯濱欲温泉静見温底顕現八葉金色花臺上有尊像。以千手爲中臺。葉上各有八佛。左右有天仙。又浮金文一偈。無垢霊湯。大悲心水。沐浴罪滅。六根清浄云々。
 行者不堪随喜。詣神所勤精進。或以杵窟厳。流出清水。或抖藪峯頂。踏行辺路。[秘所霊窟悉在別記。]又小勾戸崎有毒蛇。常吐雲霧霰雹。損亡国中。行者以金杵擬之.蛇忽顚沒。又日金艮角在欠.秋八月大風吹出。損失果實。行者覆大石以爲其盖。暴風忽止。国中安然也。金杵。水瓶。繩床。鹿杖。安置小勾戸之菴室。(「走湯山緣起巻第二」『群書類従・第二輯』巻第二十五、昭和六十二年一月、訂正三版、319ページ)
 「走湯温泉跡」の向かいに「うみのホテル・中田屋」の「走り湯資料館」がある。そこに展示されている資料の中に、熱海郷土史より抜粋した「走り湯由来記」が展示されていて、次のように記している。
「平安時代の末この湯のかたわらに役(えん)の行者堂あり/熊野や高野山・富士山等の名山霊地と共に修験者の修行場であった為「霊験の出ずる湯」として世間の在俗者には近付きにくかった/鎌倉時代源頼朝が之を加護する様になり一般の入浴もかなわなかったが末期になって初めて広く入湯する様になった」。
 また次のように記している。
「当時の入浴者は次の役の行者が感得したと云う経文を称え乍ら入浴したと云う/無垢霊湯大悲心水沐浴罪滅六根清浄」
⑥【澤田政廣記念美術館】…静岡県熱海市梅園町9-46。(2010/03)
 「隠者」(彩色樹脂、昭和38年、69歳)という作品名。その説明には次のように記されている。
「錫杖と書簡を手にして巨岩にどっかり腰をおろした役行者像です。熱海に縁の深い文豪、坪内逍遥が書いた三幕の戯曲『役の行者』から題材をとり制作されました。……坪内逍遥は一時期、政廣の生家ののすぐ裏手の糸川沿いに別荘を構えていたことがあり、また伊豆山神社(熱海市)が山岳信仰の道場であったことから、この作品は、多くの澤田政廣作品の中でも故郷熱海とのゆかり深い作品であると言えます。……当館の本作品は、著作権所有者であるご遺族の監修のもと、オリジナルの木彫作品所蔵者である宗教法人霊友会よりご協力いただき、木彫作品より型取りをして、平成4年新たに彩色樹脂像として制作されたものです」
Ⅲ 磐田市
➀金剛寺…静岡県磐田市見付。(2010/03)
 曹洞宗。本尊は釈迦牟尼仏。
 磐田市教育委員会の説明は以下の通り。
「慶長十五年(一六一〇)から元和五年(一六一九)に中泉代官となった大石十右衛門康正の開基。……侠客大和田の友蔵の墓碑もあり、また古くから役行者(修験道の祖)の石像を安置して鎮守神とし、昭和初年まで大峰講中が盛んでした」
 金剛寺に入って、すぐ左に小さな石像がいくつも祀られている。その一番右に役行者の石像がある。右手に錫杖、左手に経巻を持った半肉彫りの倚像である。【写真5】
②行者神社…静岡県磐田市新貝1281。(2010/03)
 王子神社と連城寺(西隣は古墳)の間にある小高い丘に行者神社がある。その丘の南側に参道入口があって、登っていく。石の鳥居の右に津島神社の祠がある。
 正面に行者神社があったが、何も祀られていなかった。
Ⅳ 袋井市
篠ヶ谷山岩松寺…静岡県袋井市浅羽3598。(2010/03)
 高野山真言宗。本尊は聖観世音菩薩。
 神亀2年(725)、行基によって開創。
 岩松寺の道路の斜め向かい(南側)に、石段があって、それを上がると地蔵堂、観音堂、行者堂がある。
 行者堂の建物の外観は、新しく手入れされたもののようだ。残念ながら、内部には何も祀られていなかった。
Ⅴ 賀茂郡南伊豆町
➀石廊崎駐車場…静岡県南伊豆町石廊崎。(2009/03)
 石廊崎遊覧船乗り場のある駐車場の片隅、灯台への上り口に高さ3メートルほどの大きな役行者が祀られている。
 平成三年一月に建立されたもので、右手に杖、左手に数珠を持つ立像は珍しい。【写真6】
 その「役の行者小角」の説明板に「伊豆に残した足蹟」が記されている。
「一、石室権現を祀り、航海の安全、学問、商売繁盛の守護神とした。/二、アシタバを発見して世に広め、アロエの薬効を研究して住民を疫病から救った。/三、大瀬海岸に聳える岩に飛行の蓑をかけたと言う伝説から蓑掛岩と呼ばれている。/四、その他、変幻出没南伊豆一帯を一本足駄で濶歩した」
②石室神社…静岡県南伊豆町石廊崎。(2009/03)
 役行者の開基。拝殿に向かう入口の右手に「石廊山金剛院縁起」が記された額縁が掲げられている。昭和十五年に納められたものである。
 拝殿の左に役行者の丸彫りの像が祀られている。両手で経巻を広げ持ち、読経している姿の倚像である。【写真7】
 その上方には、役行者の金箔の図像が額に納めて掲げられている。右手に錫杖、左手に経巻を持つ倚像で、髭は蓄えていない若い姿である。昭和六十二年に納められたものである。
③役行者の蓑掛岩…静岡県賀茂郡南伊豆町大瀬。(2009/03)
 岬の先端に熊野神社がある。
 そこから大瀬海岸に聳える岩に飛行の蓑をかけたと言う、役行者の蓑掛岩がよく見える。
Ⅵ 写真一覧
 写真1 四所神社の役行者
 写真2 馬背神社の役行者
 写真3 宝珠院の役行者
 写真4 役の小角社
 写真5 金剛寺の役行者
 写真6 石廊崎駐車場の役行者
 写真7 石室神社の役行者

       写真1 四所神社の役行者

       写真2 馬背神社の役行者

        写真3 宝珠院の役行者

         写真4 役の小角社

        写真5 金剛寺の役行者

      写真6 石廊崎駐車場の役行者

        写真7 石室神社の役行者